【8月】葉月(はづき)~ススキに雁・月~
旧暦の由来
秋になり落葉で葉が落ちるので、葉月と呼ばれるようになったとする説が有力です。
札の解説
中秋の名月である十五夜(8/15)のお月見の日に、秋の七草のススキ(芒・尾花)を飾ることが絵柄の由来で、雁は秋の鳥でもあります。この札は別名「坊主」(黒い山が坊主頭に見えるので)とも呼ばれています。
ことばあそび
「すすき」と「つき」で尻が同じになっています。
図柄のとおり、下の山と上の月の見た目をそのまま8に見立てて8月としてもいですが、わかりにくいようであれば、坊主=はげ=8としても構いません。
関連知識
1月7日の人日の節句に、無病息災を願って春の七草を用いた粥(七草粥)を食べるのは有名ですが、秋の七草についてはあまり知られていません。おそらく7種類の草の名前をすべて言える人は少ないのではないでしょうか。そんな秋の七草について簡単に学んでいきたいと思います。
【目次】
秋の七草の由来
秋の七草は、万葉集におさめられている山上憶良の2首の歌がルーツだとされています。
「秋の野に 咲きたる花を 指折り(およびをり)
かき数ふれば 七種(ななくさ)の花」
【現代訳】秋の野山に咲いている草花を指を折って数えると7種類あるようだ
「萩の花 尾花 葛花 撫子の花
女郎花 また藤袴 朝貌の花」
【現代訳】それは萩の花、尾花、葛(くず)の花、撫子(なでしこ)の花、女郎花(おみなえし)、また藤袴(ふじばかま)、朝貌(あさがお)の花である
尾花とはススキのことで、朝貌(あさがお)の花は当時の日本から考えると桔梗(ききょう)の花だっというのが有力なようです。
萩(はぎ) マメ科ハギ属
紅紫色の小さな花が密集する様子が小豆に似ていることからおはぎの由来になりました。草かんむりに秋とあるように秋の代表的な草花です。
咳止め、下痢止め
芒・薄(すすき) ススキ科ススキ属
その穂が動物の尾に似ていることから「尾花」とも呼ばれ、その魔除け・呪術的な力から十五夜のお月見には欠かせない植物となっています。また、萱(かや)とも言われ、昔から茅葺き屋根に用いられていました。
根茎の解熱・利尿作用
葛(くず) クズ科クズ属
根からとった葛粉を用いてくずきりや葛饅頭を作ったり、葛の根を乾燥させて葛根湯という風邪用の漢方薬に用いられたりします。
「葛根湯」の神経痛、解熱、発汗作用
撫子(なでしこ) ナデシコ科ナデシコ属
美麗で清楚な日本人女性をさす大和撫子(やまとなでしこ)ということばはここからきました。また、愛する幼な子を失った母親がこの花を愛(め)でて撫でたことが名前の由来だとも言われています(別名「方身花」)。
むくみ解消、高血圧に効果的
女郎花(おみなえし) スイカズラ科オミナエシ属
花のかんばせが「女性を圧巻させるほど美しい」というのが名前の由来で、同じ種類で白い花を咲かせるのは男郎花(おとこえし)と呼ばれています。
「敗醤根(根っこ)」の抗炎症作用
藤袴(ふじばかま) キク科フジバカマ属
花の色が藤色(淡紫色)で、花弁の形が袴に似ていることが名前の由来です。乾燥させたものは桜餅のような香りを発します。
糖尿病に効果的
桔梗(ききょう) キキョウ科キキョウ属
山上憶良の朝貌(あさがお)はこの桔梗だと言われています。五角形(星型)のどこかスタイリッシュな花が特徴で、明智光秀が水色桔梗を家紋として用いたことでも有名です。
「晒桔梗(根っこ)」の咳止め効果
覚え方(語呂合わせ)
有名な語呂合わせは、「お好きな服は?」でしょうか。頭文字がそれぞれの草花にあてはまります。
おみなえし すすき ききょう なでしこ
ふじばかま くず はぎ
または、5・7・5・7・7の和歌のリズムにのせて暗記するのも効果的かと思われます。メジャーなのは下記の覚え方です。
はぎ・ききょう(5) くず・ふじばかま(7) おみなえし(5)
おばな・なでしこ(7) 秋の七草(7】
まとめ
いかがでしたでしょうか。春の七草は無病息災のために七草粥でいただくので詳しく知っていたかもしれませんが、秋の七草については知らないことが多かったかと思われます。鑑賞して楽しんだり、実用的に薬として使ったりと、わりと古くから日本人に親しまれてきました。秋の七草が見れる季節になったら、自然の豊かな場所でその姿を探してみるのも風情あっていいかもしれませんね。